中国伝統医学(中医学)の豆知識

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中国伝統医学(中医学)とは

中国伝統医学(中医学)とは、中国に伝統的に伝わる医学です。日本の伝統医学である漢方や、韓国の伝統医学、東医学(韓方)は中国伝統医学(中医学)がそれぞれの地域で発展したものです。狭い意味で、東洋医学というと、中国伝統医学(中医学)を示します。

中国伝統医学(中医学)は病気の原因を局所的に診るのではなく、病気を身体全体、身体と心のバランスのゆがみによって現れるものだと考えます。そしてゆがんだバランスを正常に戻すことによって病は治ると考えます。
また、「陰陽」「気・血・水」「五臓六腑」のバランスにより健康状態を測ります。これらの考え方は、中国思想全般に通じる考え方です。

中国伝統医学(中医学)は長い年月を経て発展を続け、世界各所にある伝統医学の中でも、最も理論的な体系を整えているといわれています。
治療を目的とし、漢方薬を処方する薬物療法や、鍼灸を使う物理療法、推拿(すいな)気功などの療法を兼ね備えていることも特徴です。

中国では、西洋医学と並び、中国伝統医学(中医学)も医療として法律上認められており、患者さんはそれぞれ自分に合った病院を選択できます。
韓国でも同様に東医学(韓方)が法律上、医療として認められています。

現在、中国伝統医学(中医学)は世界中で見直され、中医学を学ぶ方が増えるに従い、その技量を客観的に判断する仕組みが必要になってきました。
1991年から中国がWHOの支援を受け、中医師(中医学を学んだ医師)のレベルの標準化を進めるための試験制度(国際中医師能力認定制度)をはじめています。

日本では前述の資格を持っていても、医師として医療に従事する事はできませんが、医師や薬剤師、鍼灸師などが中国伝統医学(中医学)を学び、施術や処方にその考え方を取り入れているケースが見受けられます。

中国伝統医学(中医学)の歴史

中国伝統医学(中医学)の成立時期には諸説ありますが、古代中国の殷王朝・周王朝(紀元前1500年~700年頃)時代、黄帝とその家臣による問答を記述したと云われる世界最古の医学書「黄帝内経」(紀元前1200年頃といわれている)が記された頃と考えられています。当時医学がよりどころとする考え方は、陰陽五行説という自然哲学思想で、こうした医学書の中にも色濃く残されています。

現在の中国伝統医学(中医学)は、文化大革命(1960年~1970年頃)後、伝統的な古典を再編したものです。古くから伝統時に伝わると医学と西洋医学を融合させたとも言われています。

中国伝統医学(中医学)の概念

中国伝統医学(中医学)では「人天合一」と呼ばれる考え方が基本にあり、これは人は自然の一部であるとの考え方です。

その中核をなす考え方として「陰陽五行論」があります。

「陰陽」とは、全てのものは陰と陽の対立する二つの性質により捉えることができ、それらの相互作用により成り立っているとの考え方です。

「五行論」とは、全てのものは、木・火・土・金・水の5つの要素からできており、それらの相互作用により成り立っているとの考え方です。
その五行(木・火・土・金・水)を人の感情や五臓(肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓)に当てはめてとらえ、身体の調子を把握します。

特徴として、もう一つ。「同病異治・異病同治」とういう考え方があります。
これは、同じ病気でも、人により治療法は異なり、また、異なる病気でもその人に合わせた治療法であればどちらの病気も治る、との考え方です。つまり一人ひとりに合わせた治療をするのが中国伝統医学(中医学)です。

診断方法~四診

中国伝統医学(中医学)の診断方法は、機械や採血を用いず、四診と呼ばれる方法で行ないます。機械等を用いないので、身体には優しい診断方法といえます。

四診とは、問診、聞診、切診、望診のことです。

●問診
既往症や現在飲んでいる薬、病気の発生した状況や経過、自覚症状などを問うことです。
症状によって、あるいは子供の場合には、本人だけでなく家族の状態なども聞いたりします。

●聞診
「聞」は「きく」ことで、せきの音、話す声の太い・細い・かすれている・息切れしている、また話し方がゆっくりしている・しどろもどろ・支離滅裂で怒りっぽい、などを聞いて判断したり、体臭や口臭などの臭いを嗅ぐことも含まれます。

●切診
「切」とは触れることで、体の特定の部位に触れることで診断を行うことです。脈を触ったり(脈診)、おなかを触ったり押して反応や感触を確かめたり(腹診)、痛みや不具合のある部位を触ったり、関係あるだろう部位を触って判断する方法です。基本的には脈診を指します。

●望診
体を見ることで診断する方法です。主に顔や上腕などの皮膚の血色を見て診断するしますが、最も特徴的なものは舌診です。舌の具合をみて診断します。

薬食同源

食材にはそれぞれ身体に効果がある成分が含まれており、食べる人の体質や状態、気候などを考慮して食べれば、健康の維持増進や病気の予防に役に立つとの考え方です。

食べ物と薬を明確に区別していない中国では、薬を「飲む」とは言わず、「食べる」といいます。

因みに「医食同源」とは「薬食同源」をヒントに作られた造語だそうです。

食材の分け方は大きく3種類あります。味による分類、性質による分類、効果がある身体の部位による分類です。

●味による分類(五味)
・酸っぱい味
筋肉をギュッと縮め、出すぎるものを収め、身体の中に留まらせる効果があります。例えば、寝汗、下痢、頻尿、咳、早漏などに効果があります。
レモン・ぶどう・キウイ・もも・みかん・青梅・ライチ・冬瓜・馬肉・酢など

・苦い味
消炎作用があり、熱による病気や症状を治す作用、身体にとって毒であるものを取り除く作用、イライラを鎮める作用があります。
葛・セロリ・アスパラ・苦瓜・銀杏・かぶ・シソ・パセリ・フキ・よもぎ・ミント・アロエ・レバーなど

・甘い味
滋養、強壮の効果があります。
身体をリラックスさせ、疲れたときに食べると元気が湧いてきます。
小麦・大麦・そば・あわ・ひえ・はと麦・もち米・とうもろこし・もやし・あずき・そら豆・えんどう豆・ささげ・白インゲン豆・黒豆・大豆・なた豆・豆腐・ゆば・豆乳・落花生・ひまわりの種・くるみ・南瓜の種・なつめ・くり・松の実・牛乳・ごま・シナモン・八角・砂糖・水あめ・蜂蜜など

・辛い味
発散、発汗、血や気のめぐりを良くする効果があります。
セリ・葱・にんにく・カラシ菜・アブラ菜・玉葱・にら・香菜・しょうが・里芋・よもぎ・唐辛子・大豆油・辛子・コショウ・山椒・ワサビなど

・塩辛い味
固くなっているものを軟らかくして外に出す効果があります。具体的には解熱効果や便秘によいとされます。
豚腎・鳩肉・鴨肉・豚肉・ハム・豚蹄・いか・蛤・まて貝・あわび・カニ・えび・ナマコ・サメ・牡蠣・たこ・シジミ・アサリ・のり・こんぶ・しょうゆ・味噌・食塩など


●性質による分類(四気)
・寒の食べ物
身体を冷やし、鎮静・消炎作用があります。
シジミ・アサリ・ハマグリ・昆布・アロエ・ゴボウ・なす・ニガウリ・蓮根・食塩・醤油など

・涼
「寒」より弱いが身体を冷やし、清涼感があり鎮静、消炎作用があります。
春菊・人参・キンカン・ビワ・胡麻油・ミント・小麦・きゅうり・大根・豆腐・蕎麦・みかん・モズク・ハトムギなど

・熱の食べ物
身体を温め、興奮作用があります。
唐がらし・シナモン

・温の食べ物
「熱」より弱いが身体を温め、興奮作用があります。
ムール貝・小松菜・松の実・大豆油・ライチ・スズキ・鶏肉・羊肉・鰺・かたくち鰯・鮭・鯖・ニンニク・もち米など


●効果がある身体の部位による分類(帰経)
・心経
緑豆・あずき・西瓜・小麦・酒・なまこ・納豆・椎茸・昆布など

・肝経
バター・しじみ・いか・トマト・キウイ・いちご・檸檬・桃など

・脾経
春菊・きくらげ・そば・大豆・芋・レンコン・さんま・はとむぎなど

・肺経
キャベツ・にら・くるみ・びわ・紅花・小松菜・ピーマン・みかんなど

・腎経
大麦・豆腐・豚肉・にら・豚足・ピータン・スッポン・なまこなど

・胃経
さとうきび・白菜・きゅうり・ほうれんそう・じゃがいも・牛乳など

・膀胱経
ナタマメ・トウモロコシ・冬瓜・西瓜など

・大腸経
バナナ・胡椒・いちぢく・そば・なず・塩・たけのこ・ニガウリなど

・小腸経
塩・あずき・冬瓜・キュウリ・ヤギのミルクなど


これら薬食同源の考え方は日本の漢方や薬膳にも取り入れられています。

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